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私がオーディオストックで曲を販売していない理由
こんにちは、サウンドクリエイターのユーフルカです。
本業の傍ら、月間11万PVのゲーム音楽特化型フリー素材サイトを運営しています。
国内最大の有料BGM販売サイト、オーディオストック。
副業している音楽クリエイターの方で知らない方はいないと思います。
私のツイッターの質問箱の方でご質問をいただいた内容について
詳しく記事で解説したいと思います。
答えとしては、はい、今のところ考えていません。
という事で、その理由を書いていこうと思います。
最初に言いますが、儲かるとか儲からないとかそう理由ではありません。
ざっくり書くとこんな感じ。
- ゲーム用のデータ配布に向いていない
- 審査がめんどい(たまに理不尽)
- ユーザー(買う側)に厳しい(値段が高い・アダルト利用禁止)
ゲーム用データの配布に向いていない
私のビジネス的理由としてはこれが最大かもしれません。
私はゲーム制作に超特化型の音楽素材を作っており、
有料素材もBOOTHやitch.ioなどで普通に販売しておりますが、
オーディオストックではゲーム用のoggやm4aを販売することができません。
5Gによってこれからどんどんゲームの需要が伸びる中、
ゲーム用の素材が販売できないのはかなり致命的です。
もちろん販売しているデータをゲームに使用すること自体は可能です。
(実際にゲーム向けとして販売されている曲も多い)
ただ、実際にゲーム制作者目線になった場合、これらの曲は
ゲームにも使えるというだけで、ゲーム用の素材ではありません。
オーディオストックで販売されているデータをループ用に加工するには
それなりに専門技術が要ります。
素材を買うような人がパパッとできるようなことではないので
ゲームで使用するにはかなり場面が限定されます。
(ループではないイベントシーンやムービーシーンなどに向いています)
加えて、後の項目で別途解説していますが
ゲームに使用する場合はプロプラン(月額2万円)に契約する必要ありです。
正確に言うと単品を2000~3000円で1曲ずつ買うか、
毎月2万円払って使い放題か選べ、ということらしいです。高い。
「ゲーム用の素材をオーディオストック用に編集して売ればいいじゃん」
というご意見もあるかもしれませんが、
価格設定や利用規約上の問題で今のところやっていません。
オーディオストックの販売条件は以下の通り。
- 30秒以上なら1曲2000円以上
- アダルト利用不可
という事で、オーディオストック専用の素材が必要なのですが
オーディオストックには2020年4月現在、12万曲も登録されており、
1曲や2曲登録したところで殆んど売れることはありません。
オーディオストック用にわざわざ別の素材を作るくらいなら、
自分のサイトにフリー素材として追加してサイトを育てます。
審査がめんどい(たまに理不尽)
オーディオストックに曲を投稿する場合、
かなり厳しめの審査に通過する必要があるのですが、
個人的にはこれがいくらなんでも厳しすぎると感じています。
何度かテストで投稿して、どういった場合に審査に落ちるか
わかったのですが、わかっても納得ができないレベルでした。
「曲中にある、聞こえないノイズ」を理由で落とされたりします。
(作った本人が聞き返してもノイズと認識できないレベル)
「そんなところ誰も気にしねえよ」と言いたいです。
企業として有料の素材を販売する上では
十分な検査が必要なのはわかりますが、正直めんどくさすぎます。
1曲当たりの値段が高い・アダルト利用禁止
音楽を作っている私がこんなことを言うのもアレですが
音楽の金銭的価値は限りなく低くなってきています。
理由は単純。
技術の進歩により量産が可能になったから。
誰もが家にいながらそこそこのクオリティの音楽が作れる時代だから。
事実なんだからしょうがないじゃん。
この流れにあらがうことなど不可能です。
例えば世界中のYouTube用の動画についている音楽の大半はフリー素材です。
最近はテレビ番組でさえフリー素材を使ったりします。
実際に山田孝之さん主演ドラマ「勇者ヨシヒコと導かれし七人」では
私のサイトで配布しているフリー素材が使われているシーンがあります。
(第3話 エフエフの村の回の戦闘シーン)
私のサイト以外でも、魔王魂さんやPerituneさん、H/MIX GALLERYさんなど、
プロのクリエイターが運営するフリー素材サイトがたくさんあります。
私がオーディオストックで曲を買う音楽素人のユーザー目線になるなら、
以下の理由から1曲500円くらいにしてほしいかな、という印象です。
- 高品質なフリー素材と大して変わらない(素人は差が気にならない)
- 完全に自分用の曲にならない(誰かと被る)
しかもオーディオストックの利用規約上、単品で数千円以外の選択肢としては
ゲームに使う場合はプロプラン(月額2万円)を契約しなくてはならず
アダルトに関してはプラン関係なく利用不可です。
個人的には、音楽をアダルトコンテンツでの使用を禁止する場合の
メリットとデメリットを比較すると、デメリットしか無いと思っています。
歴史が証明している事実として
エロを味方につけたものが勝ちます。
オーディオストックで販売するのに向いている人
とはいえ、オーディオストックで自作曲を販売して
お金を稼ぎまくっている人もいるので、
どういった人が向いているかを考えてみました。
- 有名になるより収入を重視したいめっちゃ曲を持ってる人
- 動画やテレビ向けの素材を作る人
- フリー素材サイトをやる気が無い人
有名になるより収入を重視したいめっちゃ曲を持ってる人
基本的に有料という時点でフリー素材に比べて利用数は減りますし
ただでさえ莫大な数をそろえるオーディオストックの中で
その存在感を示すのは一苦労だと思います。
たとえあなたの曲を買ったとしても、大半の購入者は
あなたの曲というより「オーディオストックの曲」として認識しています。
仮に作品にクレジットするとしたら、あなたの名前ではなく
大半の人が「オーディオストック」と記載するはずです。
例えばテレビ番組で写真が出るとき、
「画像提供:PIXTA」と書いてあるのを見たことがあるかもしれません。
あれはオーディオストックと提携している画像サービスPIXTAに
投稿しているクリエイターの画像なのです。
でもクリエイター名なんて出してもらえませんよね。
なので、たくさん曲を持っているけど、音楽を大勢の人に聞いてもらって
有名になるよりは、自分の曲を販売してお金を稼ぐことに集中したい
という人が向いていると思います。
ただし、オーディオストックである程度の収益を得るには
大量のストックが必要です。
12万曲という膨大な曲数の中からあなたの曲を選んでもらう
必要があるためです。
参考ですが、作曲家でオーディオストック専属クリエイターの
こおろぎさんによれば、400曲登録して月の収入は約13万円です。
-参考記事(外部リンク)-
動画やテレビ向けの素材を作る人
前述したとおり、オーディオストックにある音楽は
ゲームにも使用できるというだけでゲーム用の素材ではありません。
ゲーム用のループ加工済みデータを販売できない以上
どうしても動画やテレビでの使用がメインになると思います。
ただ、YouTubeではフリー素材を使うことが当たり前なので
大半がテレビ番組か、予算の少ないスマホアプリなどになると思います。
仮にゲーム用のループ素材を販売したいのであれば
Unity アセットストア、BOOTH、itch.ioなど、最初からゲームを目的とした
ゲーム素材専用の配布サイトを利用する方が圧倒的に売れます。
フリー素材サイトをやる気が無い人
音楽でお金を稼ぐ選択肢の一つとして、フリー素材サイト運営があります。
前述の通り私ユーフルカも運営しています。
こちらは、無料という最強のアドバンテージをもって世界中から集客し
主に広告収入と、ファンの方向けに有料素材を販売するといった形で
収益化するビジネスモデルです。
こちらも大量に曲数が必要なのは同じですが、
加えて自分でサイトを制作・運営しなくてはならず、
SEOやホームページ改造の知識が必須になります。
フリー素材サイト運営の最大の利点の一つですが、
基本的にはあなたの曲だけをあなたのサイトで配布するため、うまくいけば
あなた自身の名前が知られることになり、ブランド化することができます。
(投稿型のフリー素材サイトに関しては違います)
音楽クリエイターとして自分をブランディングしていきたい方や
特にこれから伸びるであろうインディーゲーム業界に興味がある方には
超オススメの発信方法なのですが、
これに興味が無い方、音楽以外の知識を得るのが面倒というのであれば
オーディオストックは有益だと思います。
フリー素材サイトの作り方や運営に関しては下記記事を参考にして下さい。
-参考記事-
もちろんフリー素材サイトとオーディオストックの平行運用も可能ですが
難点は、フリー素材サイトの曲とオーディオストックで販売する曲は
別々に用意しなくてはならず、莫大なストックが必要になることです。
今後、販売する可能性はまだあります
私はオーディオストックは、現状が続くのであれば
近い将来消滅すると思っています。
ただ、それは現状を維持しているのを仮定した場合です。
今後、5Gの普及により間違いなくゲームの需要が増えます。
ゲームを作る人が今よりももっともっと増える世の中になります。
もしBOOTHなどと同様に、オーディオストックでもゲーム用の
データを販売できるようになれば、需要が爆増することは確実なので
ゲーム制作者目線になった、ゲーム用データ販売が可能になれば…
そしてアダルト利用が解禁されれば…
そうなれば私も確実にオーディオストックで販売することになるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はオーディオストックに対する個人的な考えと
今後どうなるかについての記事でした。
オーディオストックは、クリエイター目線からすると
非常に魅力的な値段設定だったりするのですが、
ユーザー目線になったときに
高すぎるし、ゲーム用データ無いし、アダルト禁止だし、
やや使いにくいかなと思っている次第です。
オーディオストックの今後の展開に期待します!
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ここまで読んでいただきありがとうございました!
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