目次
ゲーム音楽の作曲の手順と発想法
こんにちは、サウンドクリエイターのユーフルカ(@YouFulca)です。
今回は、古今東西大小合わせると毎年100曲以上のBGMを作っている私が
ゲーム音楽の作り方の手順や発想について解説したいと思います。
作る前にまず考えること
ゲーム音楽を作る際は、より大雑把な要素から、曲の細かい要素に
だんだん落とし込んで考えていくと作りやすいです。
下の順番のような感じです。
- 作品そのものの世界観とストーリー
- どんなシーンなのか
- キャラクターの感情(喜怒哀楽)
- 場所や空気感(氷、炎、夏、冬、和風…など)
- 使う楽器、曲調
次の項目から、より深堀りして解説していきます。
作品そのものの世界観とストーリー
当たり前ですが、ゲームの音楽を作るためには
そのゲームの”世界観“を理解することは必須項目です。
世界観とはどういうことかというと、例えば同じアクションゲームでも、
「がんばれゴエモン」なら”痛快和風アクション“。
「悪魔城ドラキュラ」なら”中世ゴシック+スタイリッシュアクション“。
「星のカービィ」なら”ポップでかわいいファミリー向けアクション“など
その作品の全体を象徴するようなキーワードです。
ストーリーは言わずもがな。物語の内容です。
悲しい話なのか、楽しい話なのか、ギャグなのか、ホラーなのか。
世界観とストーリーを理解することによって、その作品で流れる音楽の
大まかな方向性を決定することができます。
とはいえ、ドラキュラのゲームで和風の曲が流れないかというと
別にそういうことはありません。
あくまで「全体的な大まかな方向性」を決めるという事です。
どんなシーンなのか
世界観がわかったら、だんだん細かい要素に考えを落とし込んでいきます。
まずはどんなシーンに音楽が必要なのか?という事です。
シーンによって、大まかに曲のジャンルや曲調が決まります。
例えばRPGの音楽を占める要素としては以下のようなものがありますね。
- メインテーマ
- 日常のシーン(町、城、会話、フィールドetc)
- 特別なイベントシーン(告白、危機一髪、ギャグetc)
- 戦闘シーン(通常戦闘、ボス戦、ラスボスetc)
- ジングル(勝利ジングル、ゲームオーバー、宿屋etc)
戦闘シーンはオーケストラ調やロック、告白シーンは癒し系ピアノ、
町のシーンはストリングスやフルートを使った平和を感じる曲と言った感じです。
あくまで大まかなイメージです。
シーンとは、ストーリーの流れと表裏一体で切っても切り離せないものなので、
例えば戦闘シーンだからと言って絶対に激しい曲という曲ではなく、
次の項目で説明する”感情“を優先した静かな曲調にするということもあります。
例えばダークソウルはほとんどのボス戦が混沌として激しいオーケストラ調ですが
ラスボス戦だけは悲しいピアノソロです。
キャラクターの感情
あるシーンに曲を作ると決まったら、
そのシーンに付随する要素を考えます。
大きい要素としては、そのシーンに出演するキャラクターの感情です。
キャラクターの感情とはつまり、喜怒哀楽です。
そして喜怒哀楽をつかさどるのは、曲のコード進行とテンポです。
非常にわかりやすい極端な例ですが、
悲しい死別シーンにわざわざ明るいメジャーコードの速い曲を使ったりはしませんよね。
ところで、一言で喜怒哀楽と言っても、人の感情はたった4つに分けられるはずもなく
もっとたくさん、複雑な感情や、思い浮かぶキーワードがあると思います。
例えばこのような感じです。
- 喜び(嬉しい、再会の感動、達成感 etc)
- 怒り(怒り、呪い、絶望、復讐 etc)
- 哀しみ(別れ、裏切り、死、ノスタルジー etc)
- 楽しい(ドタバタギャグ、カワイイ、無邪気、イタズラ etc)
例えば、戦闘シーンの曲を作りたいとします。
その戦闘シーンは、どんな戦闘シーンでしょうか?
勇気や決意、仲間との絆を感じる、通常戦闘でしょうか?
それとも、生き別れた兄と再会したのに敵同士として戦わなければならない
宿命的で悲しい戦いでしょうか?
この二つのシチュエーションは、同じ”戦闘”ですが、まったく曲調が変わってきます。
プロのサウンドクリエイターは、これらのキーワードを見たときに、
使えるコード進行のパターンや、あるいは音そのものを既に脳内で鳴らせます。
端的に言うと、脳内で鳴った音を再現するのがDTMでありゲーム音楽制作です。
これは長年の経験によって、音楽的な”引き出し”を多数持っているからです。
最初からこれができるという人は、よほどの天才でもない限りいません。
初心者のうちは、こういったコード進行の引き出しを増やすために
普段からゲームをプレイするとき、アニメや映画を見るときに
どんなシーンで、どんな感情を表すときにどんな曲が流れているのか
分析的にBGMを聴いたり、サントラを買ってシーンの曲を分析して
真似して作るという作業の積み重ねが大切です。
曲が流れる場所や空気感
場所や空気感をつかさどるのは、音色と音階です。
場所や空気感というのは例えば以下のようなものです。
- 身を焦がす炎の洞窟なのか、息も凍る氷の雪原なのか?
- 季節は夏なのか、冬なのか?
- ハロウィンパーティ?それともクリスマスパーティ?
- 神秘的なのか、おどろおどろしいのか?
- 洋風なのか、和風なのか、中華風なのか?
例えば和風の町なら三味線や琴の楽器で和音階が真っ先に思いつきますね。
南国のリゾートならスティールパンを使った明るい曲調。
氷の洞窟なら、グロッケンやシンセベルと言ったキラキラした音をよく使います。
逆に炎の洞窟なら、蒸気が噴出するような「シュー!」という音を入れても面白いです。
神秘的なダンジョンなどでは4度堆積和音といったコードが使いやすいです。
ホラーゲームではあえて低音域の半音をぶつけて不安感を煽ります。
このように、特殊ないくつかの音階はその国を象徴することができますし、
象徴的な楽器や音色によってキャラクターがいる場所を曲だけで表現することができます。
こういったある種の「ゲーム音楽のセオリー」も、引き出しの一種です。
普段意識的にゲームのBGMを聴きながらプレイすることで引き出しを増やして
いつでも出せるようにしておくと、どんなシーンの曲でも作れるようになります。
普段から”ゲーム音楽の引き出し”を増やそう
普段から手を使っていても、急にバスケが巧くなることはないのと同じように
普段から歌モノばかり聴いていてはゲーム音楽は作れるようになりません。
インストにはインストのセオリーがあり、歌モノとは別の音楽です。
普段からゲームをプレイしながらBGMを意識的に分析しながら聞くと、
いくつも聞いているうちに、ある法則のようなものが見えてくるはずです。
それがあなたの引き出しになります。
こういったセオリーや法則をパクることは何も恥ずかしいことではありません。
プロでもみんなやっていることです。
どんどん法則を見つけ、自分の音楽に活かしていきましょう!
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