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音楽ド素人がプロのサウンドクリエイターになるには
こんにちは、サウンドクリエイターのユーフルカ(@YouFulca)です。
この記事を読んでいる方は、音楽制作を仕事にしたいと思っている方だと思います。
でも、楽器も弾けないし、音符も読めない、知識なんて何もないから
何から始めていいかわからない…
そんな方のために、私自身がプロになるためにド素人時代にこなした工程を
ご紹介いたします。
私は高校1年生のころまで音楽を仕事にするつもりはありませんでした。
音符も読めないし楽器も弾けませんでした。
しかし、その5年後にはプロのサウンドクリエイターとして
大手パチンコメーカーに就職していました(その会社はすでに退社しました)。
そんな私も今ではサウンドクリエイター歴13年(2020年現在)。
去年1年間で作ったゲーム音楽は100曲以上です。
誰もが最初はド素人だったのです。
あなたにもチャンスは必ずあります。
やるべき事Lv1:プロが使う音楽制作ソフト(DAW)を買う
音楽制作ソフトが無ければ音楽が作れません。
画家志望者がキャンバスを買うのと同じように、音楽を作るのですから、音楽制作ソフトが必要です。
そしてプロになる!と心に誓ったのであれば、安価なものやフリーソフトは選ばずに
最初からプロが使っている、有名で信頼できるDAWを購入することをお勧めします。
日本ナンバーワンYouTuberのヒカキンさんも言っていますが、
その道のプロを目指すのであれば、プロが使っている道具を使うのが最速です。
プロになってからプロ用の道具を買うのではなく、
プロになりたいからプロ用の道具を買うのです。
音楽の仕組みは一度覚えればどんな曲にでも応用できますが、
DAWの使い勝手はソフトによって全く違います。
そもそもプロの現場で使われているDAWは確実に有名どころですので、
初心者だから最初は簡単なソフトから覚えよう…などということは完全に時間の無駄です。
(ちなみに私は素人用のソフトを最初に選んでしまい、かなり遠回りしました)
私がオススメするプロが使用するDAWは、断然CUBASE PROです。
私の知る限り音楽制作の現場でぶっちぎりで使用率が高いのがこのCUBASE PROです。
これを持っておけばまずほぼどんな現場でも通用します。
国内シェアNo1のDAWで、日本語のチュートリアル動画も豊富にあり、感覚的に音楽制作が
できる機能も多数備え、さらに最初からハイクオリティな音源ソフトやプラグインが
大量にインストールされているため、これだけ買ってしまえばすぐに音楽制作が可能。
プロアマ、そして音楽のジャンル問わず圧倒的な人気を誇るDAWです。
私自身も、13年間ずっと使い続けています。
-参考-
やるべき事Lv2:好きな曲を耳コピする
音楽制作ソフトを手に入れたら、操作方法を覚えるという意味でも
まずは、自分が好きな曲をかたっぱしから耳コピ(楽譜や音符を見ず、耳で聞いてコピー)
して打ち込んでみましょう。
Cubaseの場合、最初にキーボードのCキーを押し、メトロノームをONにして
コピーしたい曲に合わせてテンポ(BPM)だけ調節します。ぴったり合ってなくても構いません。
この時点で満足に楽譜や音符が読めなくても構いません。
これは、楽器が弾けない人ほど効果的な強力なトレーニングです。
私もド素人時代、好きなゲームのサントラの好きな曲を耳コピしまくりました。
音符はもちろん楽譜の知識も何もないまま、何度も何度も同じ場所を聞き返し、
原曲と同じように聞こえるまで修正してまた再生して…の繰り返しです。
もちろん最初はメロディ程度しかコピーできません。
音の数が多い場合はそれすら困難な場合があります。
音符も読めないしリズムもわからないので本当に最初はメチャクチャです。
一小節打ち込むのに何時間もかかるかもしれません。
それでも、「これで原曲と同じメロディだ!」と思えるまでやり直します。
なぜこんな面倒なことをするかというと、
ただ楽譜で見て音符を打ち込むよりも、自分で失敗と調整を繰り返すことで
より確実に相対音感とリズム感を体得できるからです。
そしてメロディができたと思ったら、今度は別のパートにチャレンジします。
後ろで鳴っているドラムや、ベース、キーボードなどです。
このトレーニングを繰り返しすることで、自身の音感やリズム感だけでなく、
音楽がどのような楽器で、どの音域で構成されているか、というのを覚えることができます。
つまり、アレンジ(編曲)の知識を得ることができるのです。
最初から市販の歌楽曲やオーケストラの曲を耳コピするのは不可能というか無謀なので、
私のオススメはファミコン、もしくはスーパーファミコンのゲーム音楽の耳コピです。
なぜなら、ファミコンは基本的に3和音、スーパーファミコンは6~8和音程度までしか
同時に音が出ない仕様になっているため、メロディ以外も比較的聞き取りが簡単だからです。
ちなみにファミコンだとこんな感じ
スーパーファミコンだとこんな感じです。
ちなみに私は最初に耳コピに挑んだ楽曲はファイナルファンタジー6の名曲”決戦”でした。
その後、桜庭統先生の曲に衝撃を受けヴァルキリープロファイルの音楽の耳コピに
挑戦しましたが、プレイステーションの為音数も多い上に変拍子という難解な作りだったので
とても太刀打ちできませんでした(笑)。
やるべき事Lv3:コード進行をひたすら覚える
これはLv2の”耳コピ”と並行してやるべき事なのですが、
音楽の構成概念であるコード進行を覚えてください。
コード進行とは、楽曲を構成する音程の縦横の組み合わせの事です。
この世に存在する音楽の殆んどは、このコード進行で分析できます。
例えば、一小節目が「ド・ミ・ソ」二小節目が「ソ・シ・レ」なら
この場合のコード進行はC→Gとなります。
好きな楽曲のコード進行で構いません。耳コピする曲とは別でも構いません。
今は便利な時代で、「〇〇(曲名) コード進行」と検索すれば一気に調べることができます。
例えば、スピッツの”チェリー”のコード進行がこちらです。
もう一度言いますが、コード進行とは、単純に音の縦横の組み合わせです。
すなわちこの場合、縦はド・ミ・ソという音程、横はC→Gという流れの事です。
このコード進行は、特定の楽曲特有のもの、というのは今やほとんど存在しません。
大半の曲のコード進行が、ある程度のパターンの中に存在しています。
これが何を意味するかというと、
有名な楽曲のコード進行だからと言ってあなたが使っていけないわけではないということです。
むしろ、耳コピを繰り返し練習していてある程度経ったころ、きっとあなたは
日本人に人気の曲の中には共通するパターンがあることに気が付くと思います。
代表的なパターンが「C→G→Am→Em」というカノン進行と呼ばれるコード進行です。
“パッヘルベルのカノン”と同じパターンのコード進行で、応援歌などに非常によく登場します。
先ほど紹介したスピッツの”チェリー”や、最近ではあいみょんの”マリーゴールド”などといった
大ヒット恋愛ソングにもこのカノンのコード進行が頻繁に登場します。
コード進行のパターンを一つでも覚えてしまえば、
もはやあなたはすでに曲が作れるところまで来ています。
やるべき事Lv4:人気曲のコードをパクってオリジナル曲を作る
前述したとおり、コード進行に著作権はなく、
どんな名曲のコード進行でも、それ自体を使うことに問題はありません。
なので、まずは先ほどの日本人が大好きなカノンコード進行をそっくりそのままパクって
メロディだけを変えてみる、という練習をしてみましょう。
「C→G→Am→Em→F→C→F→G」を2回繰り返し、最後にCで終わります。
最初はコードだけ打ち込んで鳴らしながら、鼻歌を歌ってみるレベルでも良いです。
そしてある程度メロディが固まったと思ったらDAWで打ち込んでみます。
すると不思議なことに、非常に素晴らしい曲ができた気持ちになりませんか?
あなたがメロディを考えた、記念すべきあなたの最初のオリジナル曲の誕生です!
おめでとうございます!
別のコード進行を使って、また違う曲をどんどん作ってみましょう!
やるべき事Lv5:Lv2~4を繰り返し、好きな曲を分析する
もちろんこの世のすべての曲がカノンコードでできているわけではありませんので
あなたは自分の中のコード進行の引き出しを増やしていく必要があります。
ひたすら耳コピをしてコード進行の引き出しを増やしてそれをパクる。
これを繰り返すだけで、あなたはオリジナル曲をアレンジ含めて1~2年で作れるようになるでしょう。
ただ、もちろんただパクッて打ち込むだけではだめです。
肝心なのは、「自分がなぜその曲が好きなのか、どこがどう好きなのか」
「どこをどう変えたらもっと自分好みになるか」を徹底的に分析することです。
ただ何となく「好き」ではなく、例えば
「このコード進行が恋愛の切なさにあっていて好き」
「この音色が冷たい氷の世界感にあっていて好き」
「この部分のギターソロにエコーがかかるところが幻想的で好き」
…などなど、
どう「好き」なのかという事をよく考えてください。
この積み重ねが、あなたの個性と引き出しになるのです。
一見聞くとパクッてばかりでオリジナリティとは真逆に思えますが、
繰り返すうちに、曲を聴いたときに「自分ならこのメロディはこうしたい」とか、
「このメロディの時はこっちのコードの方がいい気がする」という思いが出てきます。
まさにそれがあなたの個性なのです。
そしてこれを繰り返すことで、例えばゲームの楽曲を制作する際
「この世界観で、この場面のならこの音色を使おう」とか
「この感情を表現するにはこのコードを使った方がいいな」といったことが
自然と脳内でできるようになります。
この能力無くして、サウンドクリエイターとしての仕事はできません。
そしてこの頃には、あなたは「相対音感(※)」を身に着けているはずです。
※目隠しで鍵盤を鳴らしても正確な音名はわからないが、例えば
C→G→Am→EmやD→A→Bm→F#mと鳴らした時に同じカノン進行であることを認識できる音感
やるべき事Lv6:自作曲をネットで公開する
ある程度曲が作れるようになったら、ネットで自作曲を公開しましょう。
初心者のうちは他人に聞いてもらい、意見をもらうことが何より成長に繋がります。
YouTubeでもいいですが、ボカロなどの曲の場合はニコニコ動画の方が
より多くの人に聞いてもらえます。
自作曲を誰かに聴いてもらう最初の一歩は確かに緊張します。
なかなか投稿ボタンを押せないと思います。
ですが「いいね」を押してもらえた時や、好意的なコメントを初めてもらった時の嬉しさは
他の何物にも代えがたいものがあり、それこそ天にも昇るほどの高揚感を感じるはずです。
それが「次も作ろう!!」という強い気持ちになり、創作活動の原動力になります。
初心者のうちはこれ以上ないというほど最強のモチベーション発生装置なのです。
もちろん、好意的なコメントをもらえるとは限りません。
特にニコニコ動画の場合は全体的な精神年齢が低いのにくわえ、特定の作者の信者など
アンチが面と向かっては言えないような言葉を平気でコメントしてくることも多いです。
ですが本当にプロになりたいのなら、ここで躊躇してはいけません。
たくさんの曲を作り、よりたくさんの人に聞いてもらいましょう。
もしアンチが怖い、と思う方はこちらの記事も参考にしてみてください。
→【ネット活動の心得】無視すべきアンチコメと無視してはいけない批判的コメ
あなたの曲を批判しているからと言って無視すべきアンチとは限らない、
という点にくれぐれも注意してください。
やるべき事Lv7:できればピアノかギターを練習する
ぶっちゃけ満足に楽器を弾けなくても、音楽は作れます。
しかし、どう考えても弾けないよりは弾けた方がいい曲が作れます。
で、なんの楽器をやればいいかというと、ピアノ(鍵盤)かギター、この二択です。
ピアノ(鍵盤)は単純に、弾ける場合は打ち込み速度が段違いに速くなるため
制作スピードの効率が上がります。
完璧に弾けなくてもいいのでスムーズに和音を押さえられるようにはなりましょう。
ギターは、打ち込み技術にはあまり直結はしませんが、ジャンル問わず
非常にアレンジによく使われる楽器です。
2020年現在のソフト音源の技術では、バッキングギターの打ち込みはだいぶ楽になりましたが
特にロックのリードギターソロなどを本当にプロが弾いたような生っぽく打ち込むためには
相当の技量と時間を要します。
ギターを弾ける人なら10秒で終わるようなフレーズも、30分かかる場合もあります。
逆に、ドラムなどを上達してもバンド活動には良いですがDTMには活かせません。
使用頻度の低い民族楽器なども同様です。
やるべき事Lv8:最低限のミキシングを覚える
ある程度作曲・編曲作れるようになったら、次は自分の曲を洗練させる
ミキシングの技術を磨く段階です。
音楽制作初心者のうちは、曲を作ることに精一杯すぎてその後のことなど
考えている余裕がないのですが、最近はミキシングがある程度できて初めてプロ、
という認識になっていると思います。
自分の曲とプロの曲を聴き比べた時に、
「なんか自分の曲って音がショボいな…」
「プロの曲ってなんか綺麗に聞こえるな…」
そう思った方の耳は、もう十分ミキシングを練習する段階に到達しています。
イコライザー、コンプレッサー、リバーブ、ディレイ
この四つのエフェクターの基本的な使い方を覚えるだけであなたの曲が見違えるはずですので、
是非ミキシングにチャレンジしましょう。
ミキシングに挑戦するために必須なのが、プロと同じ環境で楽曲を聴く環境ですが、
それを簡単に叶えてくれるのがこちらのヘッドフォンです。
どこのスタジオだろうが、どの音楽制作会社だろうが、確実にこのヘッドフォンが置いてあります。
このヘッドフォンで自分の曲とプロの曲を聴き比べ、よりプロのクオリティに近づくように
試行錯誤を重ねましょう!
やるべき事Lv9:ポジティブな言葉を使い、自分を他人と比べない
ここにきて精神論かよ、と思われるかもしれませんが、
私はプロになる直前の人生で一番貧乏だった時期にこれを徹底しました。
どれだけお金が無くても決してネガティブなことを言わず、
ひたすら自分がサウンドクリエイターになり働いている姿を想像しながら
デモ音源作りに励みました。
今でも自分や周りに人たちを見ると露骨によくわかります。
ポジティブな言葉を使う人は常に幸福感があり、現状に感謝もできる人です。
そういう人は、努力すれば成功しやすい、というのはもはや歴史が証明しています。
他人をディスったりすぐに愚痴を言う人はいつも何かしらにイライラしています。
他人と自分を比べて気に食わないことがあると文句を言う人は幸せを遠ざけます。
精神論以前に、冷静に考えて、あなたはどちらの人と付き合いたいですか?
つまり、そういうことです。
動画解説
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