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パチンコ業界に3年以上いるサウンドクリエイターは転職すべき話
こんにちは、サウンドクリエイターのユーフルカ(@YouFulca)です。
サウンドクリエイターの求人で結構多いのがパチンコ業界です。
何を隠そう、この私も元々はパチンコ業界でサウンドを作っていた人間です。
今でも全国のホールにある超有名版権の台から、自分の曲や効果音が聞こえてきます。
今回は、パチンコメーカーに3年以上いるサウンドクリエイターの方や、
これからパチンコ業界に就職する(したい)方に向けて、知っておいたほうが
良いと思うことを書こうとおもいます。
音楽制作会社のクリエイターやフリーランスの方など、
パチンコ専門の業界でない方は対象ではありません。
結論、3年以上パチンコ業界にいるメリットはほぼ無いので転職推奨。
パチンコ業界からパチンコ業界の転職は、
パチンコそのものが大好きでないのなら無駄だと思います。
では、パチンコ業界のメリット、デメリットに分けて
解説していこうと思います。
パチンコ業界のメリット
まずはパチンコ業界のメリットです。
叩かれがちな業界ですが、クリエイターとしてのメリットはもちろんあります。
主に以下の3つだと考えます。
- パチンコ業界でしか学べない音作りが学べる
- テンションの高い音楽が得意な人は活躍できる
- 有名版権に関われる可能性がある
順に説明していきます。
パチンコ業界でしか学べない音作りが学べる
パチンコ業界最大の利点がこれです。
パチンコのための音作り(主に効果音)は、他のどんな業界にも存在しない
独特の進化を遂げたものなので、そのノウハウはゲーム業界などでは絶対学べません。
ゲームの効果音が作れる人でも、いきなりパチンコの効果音は作れません。
それくらい独特なノウハウが必要になります。
もちろんここで得たノウハウそのものは、どんな業界にいても
クリエイティブに生かすことができるので、無駄になることは決してありません。
テンションの高い音楽が得意な人は活躍できる
パチンコで必要とされる音楽は基本的にほぼ全てハイテンションです。
ごくまれに例外がありますが、基本全てくらいに考えていいです。
なので、もともとハードロックやヘヴィメタルが好きな人や
ノリノリのアップテンポなEDMなどを作っていて楽しいクリエイターなら、
自分の才能を存分に生かすことができると思います。
有名版権に関われる可能性がある
パチンコ台の大半は版権モノです。
超有名どころだと「北〇の拳」や「エヴァ〇ゲリオン」などですね。
こういった版権モノに関われることは、パチンコ業界の大きな利点です。
(もちろんゲーム業界にも版権モノはあります)
もしも大ファンのアニメやゲームの版権モノに関れたらめっちゃ最高です。
もちろんその版権の曲を作れるという楽しさもありますが、
音声収録などに参加できると、スタジオで憧れの大御所声優さんと仕事が出来たり
直接お話しできたり、時には、非常にまれな超貴重なパターンですが
収録後にスタッフと一緒に飲みに行けたりすることがあります(一度だけ経験あり)。
これはもう間違いなく、爆裂にテンションが上がります。
パチンコ業界のデメリット
続いてデメリットです。以下の5つだと考えています。
一言で言ってしまうと続けるやりがいが薄い系が多いです。
- 音楽性の幅が狭い
- 一生懸命曲を作っても大して聞こえない
- 大抵の人から嫌われている(印象が悪い)
- 絶対に名前が出ることは無い
- 業界に未来が無い
順に説明していきます。
音楽性の幅が狭い
先ほど書いた通り、パチンコの音楽性は基本ハイテンションです。
逆に言うと、それ以外の曲はほとんど作ることがありません。
RPGで例えるなら、ひたすら戦闘シーンの曲を作り続ける生活です。
もちろん就職したばかりのうちは、プロとして作ることそのものが楽しいし
そういったジャンルが得意なら存分に才能を活かせると思うのですが
正直数年もやったらめちゃくちゃ飽きます。
飽きますし、当たり前ですがジャンルに偏りがあるので
自身の引き出しが増えにくいし成長にもあまり繋がりません。
一生懸命作っても大して聞こえない(虚しい)
私がパチンコ業界を離れた大きな理由の一つです。
これはモチベーション維持にとって深刻な問題です。
一度でもパチンコを打ったことがある人、もしくは
パチンコホールに足を運んだことがある人ならわかると思いますが
めちゃめちゃうるさいです。
どういう事が起こるかというと、
どんなに頑張って曲を作りこんで、ミックスを頑張っても
正直リズムと主旋律がギリ聞こえるくらいしか聞こえません。
むしろ、会社によっては
ドラム、ベース、主旋律だけしか鳴らさなかったりしているらしいです。
(どうせ聞こえないから無駄な音を省いた方がいいという考え)
音楽を作る身としてこれほど虚しいことがあるでしょうか。
たまに質問や意見があるのですが
パチンコ台にイヤホンジャックを付けることは禁止されているので
そこに期待しても無駄です。
大抵の人から嫌われている
これに関しては、気にしない人なら別に問題ないのですが
普段ネットのコメントや世論をちょっと見てもわかるとおり
基本パチンコは嫌われています。
同じギャンブルでも、競馬などに比べてぶっちぎりの嫌われ度合いです。
あなたが好きだとしても、あなた以外の大半の人には嫌われています。
参考リンク
私の個人的意見で「パチンコが嫌い」とか言っているのではなく、
(むしろ私はパチンコ業界でいろいろ学べたので感謝しています)
単純に世間体として嫌われているという事実があるという事です。
あなたがパチンコを何とも思わなくても、人の自然な心理として、
「その業界で働いているという事は、パチンコ好きなんだな」
と普通に思われます。
友達や、好きな人に何の仕事をしているのか聞かれて
「パチンコ業界で働いているんだ」
と誇りを持って胸を張って言えるという方は問題ないと思います。
絶対に名前が出ることは無い
これに関しても、別に有名になりたくない人なら問題ありません。
が、クリエイターとして有名になりたいなら、パチンコでは不可能です。
何故なら、業界にいる限り、あなたの名前がクリエイターとして
世に公表されることは確実にあり得ないからです。
サウンドに関わらず、パチンコの有名クリエイターなど世に出れません。
(会社で偉くなったら別。でも多分その時点でクリエイターじゃない)
これは明確な理由は不明ですが、業界の掟のようなものです。
少なくとも、パチンコメーカーに勤めていては絶対に無理です。
(パチンコ業界ではなく、音楽制作会社ならごく低確率でありえるかも)
副業が解禁された企業でも、クリエイターとして発信するために
YouTubeで「私はこの台の音を作りました!」などと言うのは
許されていないところが殆んどだと考えた方がいいです。
業界に未来が無い
これに関しては、あなたに問いたい。
逆に未来があると思いますか?と。
あると思うのであれば、懸けてみるのもいいかもしれません。
業界自体は超巨大なので、そんなにすぐは消滅できません。
パチンコでお金を稼いでいる人はホールだけでなく、
音楽、映像、部品、声優などいろいろな分野の多岐にわたります。
こんな業界がつぶれたら経済的に大ダメージです。
ただ、規制に次ぐ規制、娯楽の多様化、世間的イメージなどにより
遊戯人口は毎年減り続け、全盛期の1/3以下まで落ちています。
徐々にフェードアウトしていくことは確実ですが、
パチンコ・パチスロが消滅しても、似たような文化は
カジノという形で、残るかもしれません。
将来カジノの遊技機の音楽が作ってみたいならアリかも。
ゲームのサウンド(ゲーム業界)について
参考までに、ゲームのサウンド(ゲーム業界)の特徴を挙げておきます。
一言で言うと、パチンコ業界のデメリットのほぼ逆を行っています。
- 音楽性の幅が広い
- ちゃんと聞いてもらえる
- ゲームが好きな人が多い
- 5Gによって業界自体がこれから伸びる
音楽性や作ることになるジャンルの幅が多く、成長にもつながります。
スマホのスピーカーやイヤホンから、ちゃんと音楽を聴いてもらえます。
ゲーム好きな人はパチンコ好きな人に比べて圧倒的に多いです。
5Gが普及することでゲームそのものの需要が増え、業界自体が伸びます。
デメリットは、
パチンコ業界で学べる独創的な音作りは学べない、という点です。
この音作りのノウハウはパチンコ業界以外でも非常に役立ちます。
結論:経験は確実に役立つ。でも3年以上いる意味はない
私の経験的に言えるのは、この見出し通りの言葉です。
サウンドクリエイターとして、初めて就職する場合は
パチンコメーカーでも全然ありだと思います。
新卒であれば、そもそもサウンドクリエイターとして就職できる時点で
超幸運の持ち主なので、選んでいる場合ではないかもしれません。
ただ、3年あればパチンコ独特の音作りは学べると思いますし
音楽性の幅も狭く成長に繋がりにくい、作った音が聞こえないなど
いろいろ悩みも出てきますので、
もうそのタイミングでゲーム業界へ転職を考えてしまっていいと思います。
私がパチンコ業界にいた年数は明記しませんが、
とりあえず8年以上とだけ言っておきます(ちなみに私は2020年で35歳)。
もっと早く移っておくべきだったかな、と少しだけ後悔しています。
あくまでパチンコ業界が悪いとかそういう話ではなく、
大切なのは、「死ぬまでにやりたいことをできるだけやる」ことです。
100日後に、いや明日に死ぬかもしれません。
今や終身雇用など幻想となり、企業が来年あるかもわからない時代です。
辞めたいときが来たら、秒で辞めりゃいいんです。自己責任ですが。
若いサウンドクリエイターの皆さんの参考になれば幸いです。
それでは良きクリエイターライフを!
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