こんにちは、サウンドクリエイターのユーフルカ(@YouFulca)です。
この記事では、私の本職でもあるゲームの音楽の特徴についてお話しします。
もはや音楽の一つのジャンルとして確立された”ゲーム音楽”。
では、ゲーム音楽とは、何をもってゲーム音楽なのか?
これからゲーム音楽を作ってみたい人は是非読んでみてください。
ループが前提で作られている
まずは当たり前の話ですが、ほとんどのゲーム音楽は曲が途切れることなく
そのシーンが終わるまで延々とループするように作られています。
(昔のゲームなどにはいったん終わってまた初めから、という曲もあります)
これは作曲段階から明確に尺などが決められていたりするので、
作曲家はパソコンで打ち込み作業をしながら
「あと20秒後にループしなきゃいけないから、こういうコード進行かな…」
「こういう展開にしたいけど尺が足りねええええぇぇぇぇぇえええ!!!」
などと試行錯誤しながら曲を作っています。
尺が決められる理由としては、たとえばスマホでプレイするソシャゲなど
ストリーミング再生で曲を鳴らすゲームの場合はデータ容量の都合だったりします。
最近では技術の進歩により、展開に合わせてイントロ~Bメロ~サビのように曲が
変化して、シーンの終わりと同時に曲も終わるという演出も可能になりましたが
ことインディーゲーム業界ではまだまだループは一般的です。
メロディが印象的
まず私に限らずたいていのゲーム音楽作曲家が意識しているのが
“印象的で口ずさめるメロディ“です。
YouTube動画やテレビドラマなどの背景に流れているBGMなどと
決定的に違う要素がこのメロディの主張度だと思います。
これはもちろん流れる場面やシーンによって
そこまで主張するメロディを付けない方がいいところもありますが
例えばRPGの戦闘シーン、アクションゲームの最初のステージ、
作品のメインテーマや肝となるキャラクターのテーマなど
プレイする人に印象付けたいところの曲は、非常にシンプルかつ
印象的で口ずさみやすいメロディが充てられることが多いです。
例を挙げてみるまでもないかもしれませんが
- The Elder Scrollsシリーズのメインテーマ
- ファイナルファンタジーのメインテーマ
- ドラゴンクエストのメインテーマ
- 人気RPGと呼ばれるすべての作品の戦闘シーン
- 悪魔城ドラキュラシリーズの最初のステージ
- Ysシリーズの最初のステージ
- スーパーマリオの最初のステージ
…などなど、キリがありません。
どれも、プレイしたことがある人だったらすぐに脳内再生余裕な
シンプルかつその作品を象徴するような印象的なメロディだと思います。
この理由としては、やはりゲームというのは自動進行するドラマやアニメと違って
プレイヤー主導で進んでいくメディアだからです。
例えば、タイトル画面になってもボタンを押さなければゲームは始まりません。
戦闘シーンでは、次に武器で攻撃するのか、魔法を使うかなど、手を止めて悩みます。
アクションゲームでも、ずっと進み続けているわけではなくメニュー画面を開きます。
こうした、一瞬ゲームの動きが止まった瞬間でも飽きさせないために必要なのが
聞き手に主張しやすいメロディであったりコード進行であったりするわけです。
その結果、このシーンと言えばあの曲!のような強烈な印象を与えられるわけですね。
ファイナルファンタジー5の名曲「ビッグブリッジの死闘」は今でも非常に人気が高く
その曲を聴くためだけにわざわざセーブデータを残しておく人が続出しました。
コード進行や展開が特徴的
これも、動画やドラマ、アニメの後ろに流れているような曲とは
かなり異なる要素の一つです。
特にRPGの戦闘シーンやアクションゲームなど
比較的動きが激しめのゲーム、シーンに多いのですが
展開の仕方やコード進行が印象的な曲が多いのもゲーム音楽の特徴です。
メロディが印象的な場合と同様に、こういう曲は聞き手への主張が激しいため
音楽そのものに意識が行きがちな分、見るだけの動画やドラマの背景音としては
あまり向いていません。
例を挙げると
- スターオーシャンの戦闘曲
- ヴァルキリープロファイルの戦闘曲
- ダークソウルのボス戦の曲
- FF6のラストバトル「妖星乱舞」
- ドラゴンクエスト3の「勇者の挑戦」
実は上で上げた例のうち上3つは、非常に人気の高いゲーム音楽作曲家
桜庭統さんの作品です。
FF6に関してはすでにご存じの方も多いゲーム音楽界の巨匠植松伸夫さんです。
この二人に関して共通する点は、プログレッシブロックに精通している点。
プログレッシブロックというのは、展開の多さや印象的なメロディ、ストーリー性など
ゲーム音楽と共通する要素を多く含んだロックのジャンルの一つです。
ゲーム音楽とプログレッシブロックは相性が非常にいいのです。
また展開が特徴的な曲が多い理由としては、
シーンに合わせてインタラクティブに曲調が変わるパターンがあるからです。
例えばよくRPGのバトル曲でありがちなのは、
戦闘開始~前半は静かな曲調にして、ボスが覚醒してパワーアップしたら
より激しい曲調に展開するといった構成です。
音色や曲調でシーンや場所がわかる
曲や音色を一瞬聴いただけで、例えそのゲームをやったことが無くても
どんな場所にいるのかを想像できてしまう。
つまり曲を聴いただけで風景や心情を思い浮かべられるのが良いゲーム音楽の証拠です。
例えば氷の洞窟で聞こえてくる曲は、氷を想像するようなキラキラした音、
オバケ屋敷の音は”ヒュゥ~~~”といったお化けが飛んできそうな音、
中東っぽい雰囲気を漂わせた町ならシタールの音色、
トロピカルで南国な雰囲気を持つ島ならスティールパン、
このように、ある特定の場所やシーンで流れるBGMには
一定のセオリーのようなものがあります。
上にあげた例は比較的自由に音を扱える作りやすい作品の例ですが、
例えばアクションの名作「悪魔城ドラキュラ」にはたくさんのステージが存在します。
(例えば城内、地下水路、時計塔、森、洞窟など)
悪魔城ドラキュラシリーズは中世のゴシックでおどろおどろしい世界観なので、
そこまで幅広いジャンルの音楽が流れるわけではありませんが、それでも
曲調を聞けばどの曲がどのステージの曲なのか、ある程度想像できてしまいます。
限られた楽器、ジャンルの中でこれをやるのは至難の業です。
これぞ職人、プロの業です。
まとめ
いかがでしたでしょうか!
- ループ前提の作曲
- 印象的なメロディ
- 特徴的で主張が激しい展開
- 聴いただけでシーンや感情がわかる
これがゲーム音楽がゲーム音楽たる要素だと考えています。
お気に入りのゲーム音楽ばかり聴くのもいいですが、
個人的には、やったことのないゲームのサントラを聞いてみて
自分なりに場面を想像してみるのもオススメです。
特にゲーム音楽を作る人にとっては良いトレーニングになると思いますよ!
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