【ボイスドラマ】「走れメロス」で、編集の基礎をお教えします




こんにちは、ユーフルカです。

今回は、音だけで物語とその世界を演出する「ボイスドラマ(音声ドラマ)」についてお話します。

普通のアニメやドラマは、映像がありますので、その人がどこにいて何をしているのか、

また周りに何があるのか、などは一目でわかります。

それに対してボイスドラマは、BGM、効果音、音声だけで全ての状況を聞き手に伝える必要があります。

その編集の基本について、今回その手法だけ少しだけお話します。

本当に基本的なことなので、サウンドクリエイターでなくても、これから自作ゲームを作りたいという人、

同人ボイスドラマなどの編集に挑戦したい人にもとっても役立つ内容だと思います。

下にアップしてあるのは、太宰治の名作「走れメロス」を、私がボイスドラマ風に編集し、演出したものです。

単純な朗読ではなく、しっかりとBGM、効果音を場面場面に挿入し、各キャラ別に演じ分けています。少々長いですが。

(走れメロスは著作権が切れておりますので題材にしました。)

【場所と空間、状況を伝える】リバーブ(残響)とディレイ(エコー)、環境音

聞きなれない単語だったとしても、ひとまず聞いてください。これは基礎中の基礎です。

たとえば、冒頭は町の商店街で買い物しているシーンがありますが、5分15秒からは王城の中のシーンに移り変わります。

このとき、ナレーション以外の音声にはリバーブというエフェクトが深く掛かっているのがお分かりでしょうか?

リバーブとは残響・部屋鳴りです。屋内に移動したということがすぐにわかると思います。

他にも、「ゴー…」という空気の響きや、松明の燃える効果音を薄く足しています。これによって、

なんとなく薄暗い、よどんだ空気の石造りの王の間に通されたのだ、と視聴者に伝えることが出来るのです。

(松明は明るい部屋には必要ありませんからね)

大抵の場合はリバーブタイムという残響時間のパラメータを大きくすればするほど、大きく、声が響く部屋にいることになります。

ここでもう一つポイントなのは「ナレーション以外」というところです。

当たり前ですが、「ナレーション」という役柄は、物語全編において唯一この世界には存在していない役です。

ナレーションにまでリバーブをかけてしまうということは、メロスが王と対峙しているのと同じ部屋に独り言を言っている

謎の男がいるのと同じことになるからです。おかしいですよね?当たり前ですが、大切なことです。

音声にディレイとリバーブをかけ、モノローグ演出や劇的なシーンを作る

さらに、9分28秒から始まる王様の心の中の独り言を言うシーンに注目してください。

ここで、リバーブとは別の種類の、空間を演出するエフェクトが掛かっているのがお気づきですか?これは「ディレイ」

直訳すると「遅延」。エコーとか言う人もいます。

山彦効果を与えるものです。カラオケにも付いていますね。(これがかかると、歌がうまく聞こえるからです)

現実世界から離れたところを表現したり、劇的に聞こえさせるなどの演出に利用します。

また地味ですがよく聞くとこのときだけ環境音が鳴っていません。王の心の中の台詞だからです。10分16秒から復帰してきます。

ディレイは、精神世界での会話や、必殺技名コールにかけたりなど多種多様。あとはゲームなんかでも、スーパーファミコンの

「ストリートファイター2」で勝利したとき、敵のやられ声に「うーあ、うーあ、うーあ…」とディレイがかかっていましたね。

映像のスローモーションと合わせて勝利を劇的に見せる演出の一つです。

またヴァルキリープロファイルなどのRPGでもボスを倒したときやられボイスにエフェクトをかけて劇的に見せていました。

その例がコチラ(架空のボスの台詞。最初から順に、エフェクトなしの音、次にリバーブとディレイありです)↓

印象が全く変わると思います。後者のほうを使いたくなりませんか?

これにも「ディレイタイム」というパラメータがあり、これを長くしたり短くしたり、場面によってちょうどよい設定を見つけます。

「走れメロス」のリバーブ設定画面の例




足音も細かく変えて場所を伝える

足音を変えるのが、実は場所を細かく伝える一番手軽な手法かもしれません。

38分39秒で、メロスが磔台に上るシーンで、砂利の足音から木製の床を歩く音に変えているのがお分かりでしょうか。

時代背景を考えても、磔台の階段が「カン、カン」という金属なのはおかしいと思ったので、木製床を選びました。

 

効果音は同じものを連続して使わない方が良い(特にデフォルメされたもの)

これは少し中級テクニックかもしれませんが、39分辺りから、メロスとフィロストラトスが互いの頬を殴るシーンがあります。

このシーンで、私はわざとそれぞれの殴る効果音を別のものにしています。

なぜかというと、単純に、違う人が違う人間を殴っているのだから、同じ音がするはずが無いからです。

もっと言うと、このときメロスはヘロヘロの満身創痍です。よってフィロストラトスより少しだけ弱弱しい音にしたかったのです。

よくドラマや映画に出てくる「殴る音」(いわゆるデュクシなど)や「斬る音」というのは、デフォルメされた人工音です。

(本当に殴った音を録音した素材集もありますが、こと音声ドラマにおいては地味でわかりにくいためあまり使われません)

実際鶏肉などを斬ってみてください。あんなに小気味良い「ドブシュ!!」という音が出るでしょうか?出ませんよね。

なのでこれらの音は足音などの実音系に比べて耳に残りやすく、短時間のうちに連続するとチープな印象を与えてしまうのです。

プレステ2以前のゲームなどは、容量が少なかったため足音も右足と左足で一つずつ、下手したら一つの足音を連続で出して

います。最新のリアルなゲームと比較するとなぜか非常に不自然に聞こえるのはそのためです。

(持っている人は、MorrowindとOblivionの足音を比べて聞いてみてください。マニアックですねすいません)

よって、用意できるのであれば、こういう物理攻撃系などは数パターン用意しておいたほうがいいですね。

書ききれないので今日はここまで!

もっと書きたいことがありますが、書ききれませんので今日のところはこのくらいにします。

今回は手法だけをご紹介したので、どうやって作っているのかはまだ別の機会に詳しく。

これを作ったCubaseのセッションを改めて見ると、トラック数はエフェクト含めて45トラックでした。

 

BGMは、今回は自作ではなくH/MIX GALLERY様とSenses Circuit様にお借りしております。

使った効果音素材の詳細に関してはまた別の機会に。音声は今回は私一人で演じていますが、もし

これが複数人でやるとなると、役者に状況がちゃんと伝わる台本がを用意する必要があります。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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