【映画】字幕vs吹き替え論争やめない?どっちもいいところがあるから。




どちらが優れているわけでもない。どちらも優れている。

こんにちは、サウンドクリエイターのユーフルカ(@YouFulca)です。

 

皆様は映画が好きですか?

私は両親の影響もあって子供の頃から映画が大好きで、

今まで見た映画はおそらく数千本に及ぶと思います。

 

そして、私は大の「吹き替えファン」でもあります。

野沢那智さんや山田康雄さん、青野武さんなど

往年の名優たちによる演技や台詞回し、

もう最高にカッコイイですよね!!

 

映画を語るときに永遠に終わることのない争いのひとつ

字幕vs吹き替え論争がありますが、私はこれを

ちょっと遠目から冷ややかな目で見ています。

 

なぜかというと、

別にどちらが映画として優れているとか

どっちで見たほうが映画として面白いとか、

絶対にそういうことじゃないからです。

 

字幕は字幕の楽しみ方があり、

吹き替えは吹き替えの楽しみ方があるのです。

 

字幕vs吹き替えの論争なんて私から言わせれば

醤油ラーメンと塩ラーメンのどちらが良いかを

永遠に語ってるようなものであって、

答えなんてそこに出るはずもないのです。

 

ラーメンを何味で食べるかの問題と同じように、

映画を何味で楽しむかの問題です。

 

どっちも食えよ。好き嫌いすんな。

 

って話です。

 

たまに

「映画は○○で見ないと本当の魅力はわからない!」

なんて言っているエセ評論家モドキがいますが、

それはあなたがたまたま醤油味のラーメン以外嫌いなのと同じで

それが当たり前だと思うなよ、と言ってやりたいです。

 

私は醤油ラーメンも塩ラーメンも好きなのと同じように

字幕で見るのも吹き替えで見るのも好きです。

 

むしろ、例えばDVDを見る場合、字幕と吹き替えどちらでも見ます。

ただ、見ているときの楽しみ方が違います。

 

ここで書くのは私なりのラーメンの食べ方…

もとい、映画の楽しみ方なので、

参考にしていただければ幸いです。

 

吹き替えならでは①日本人に最適化されている





字幕と吹き替えの決定的な違いのひとつ。それは

 

吹き替えは日本人向けに最適化された台詞や言い回しであるということ。

 

この効果が顕著に出るのが、コメディ映画です。

 

また、ジャッキー・チェン主演の映画や「ダイ・ハード」のような

コミカルな要素を含んだ主人公のアクション映画なんかでも

ちょっとした言い回しに日本人ウケしやすい工夫がされています。

 

以前私が見て驚いたコメディ映画に「荒野のマニト」という作品があります。

この映画、字幕で見ると何の変哲も無い(とはいっても若干尖り気味の)

コメディ映画なのですが、吹き替えで見るととんでもない台詞に変わっています。

 

細かい言い回しやシチュエーションは失念しましたが、

大体こんな感じ↓

字幕:「昼の12時だ」

吹き替え:「いいともが始まる時間だ」

 

びっくりしません?

 

ここまで極端な例はあまりありませんが、

2012年のファンタジー映画「白雪姫と鏡の女王」の中でも、

昔話のセオリーでは王子が姫を助けるはずなのに、

それを待たずに白雪姫が自分で行動を起こそうと奮起する際

「モニター視聴者の意見を無視する気か!」

と訴えるなど、吹き替えの言い回しが面白いシーンがあります。

 

このように、ちょっとした言い回し、またしゃべり方や間の作り方など

日本人が面白くなるように演じられているのが吹き替えなのです。

 

字幕でもそうなっている作品はありますが

言葉というものは字を読むよりも、

話し手の言葉の強さ、音程、間などがダイレクトに大きく伝わります。

 

また字幕では「字を読む」という作業が挟まることにより

これが笑いを阻害してしまいます。

 

吹き替えならでは②キャラにあった声がついている

字幕(元音声)で映画を見ていてこんな経験ありませんか?

  • え!?あの俳優あんなゴツいのに本当はこんな高い声なの!?
  • このシーン、もっとカッコイイ感じだと思ってたけど軽い声だったんだなあ。

などなど。

 

なんとなくゴツい役はゴツい声で喋っていそうですが、

本人の声はそんなことなかったりして拍子抜けするパターン。

 

吹き替え映画では、そのような役にはちゃんとそのような役が充てられます。

 

例えばアーノルド・シュワルツェネッガーの声の第一人者は玄田哲章さん。

「ダイ・ハード」などで世界一運の悪い男を演じるブルース・ウィリス氏には

主に三名の吹き替え専属声優さんがおり、その中でもでもテレビ版で

氏の声を担当されていた、今は亡き名優・野沢那智さんの演じる

ブルース・ウィリスが有名です。

 

それぞれ、「やっぱりこの役にはこの声だよな!」と視聴者に思わせる

説得力のある声と演技力をお持ちです。

 

こういった主役級ばかりでなく、例えばSF映画

「インデペンデンス・デイ」のラストで、侵略者の宇宙人たちに

かつてさらわれた事のある(と自称する)酒癖の悪い元軍人のおっさんが

特攻を仕掛け侵略者の宇宙船を撃墜する超カッコイイシーンが

あるのですが、ここでの英語(役者さん本人)の声と台詞は

「I`m baaaaaack!!」

あえて文字にするなら「アイム、バアアアアアク♪」と言うような

飄々とした酔っ払いの印象がある甲高い声になっています。

 

個人的には「敵に一発逆転の一撃を叩き込む割に軽い声だなあ」という印象。

(あくまで個人的印象)

コレに対してテレ朝で放送された日本語吹き替えバージョンでは

「よう、タコ野郎!!帰ってきたぜぇぇぇぇぇええええーーーー!!」

と荒々しいハスキーな声での絶叫。

 

さらにリバーブも追加されて、まさに日本人が好きそうな

「最後の一撃・形勢逆転・感動のラスト」といった印象です。

 

該当するシーンは「吹き替えの帝王」公式動画冒頭で見ることができます。

インデペンデンス・デイ大好きなユーフルカはもちろん所有しています。

 

テレビ放送だとさっきの一番いいシーンの直後にCM入ったりしますからね。

CMなしでテレ朝版が見られるなんてネ申。

とはいえ実はこの「インデペンデンス・デイ」、

DVD版の吹き替え音声ではどちらかというと英語版に近い軽いノリの

「お返しだああああ~~~!(CV:青野武さん)」

往々にしてテレビ版が一番カッコイイ仕上がりになっている

印象を受けるのですが、偶然なんでしょうかね。

 

字幕(元音声)で見たい映画①外国製ホラー映画

コメディ映画と違うようで同じ理論。

 

ホラー映画というのは、「恐怖」を楽しむための映画です。

ホラー映画の恐怖の源は、役者さんの言葉のノリというよりは、

音や状況です。

 

日本人が日本人に聞かせる怪談は別として、

コメディ映画のように言い回しに左右されることはほぼありません。

 

「日本語で絶叫された方が怖い」とか大半の人が思わないはずです。

 

その状況にいる役者さんの声を、一度日本人というフィルターを

通した演技よりも、そのままダイレクトで見たほうが圧倒的に怖いはずです。

 

デーブスペクターさんも先日ツイッターで言っていましたが、

日本人の演技は演劇調というか、ややデフォルメした形になりがち。

 

そこに妙にカッコイイ声優さんの声なんかが入ってきてしまうと、

そのままの恐怖をダイレクトに感じたいのに邪魔になってしまいます。

 

私がホラー映画を見るときは、初見は必ず

「一人で、深夜、部屋を暗くして、元音声で」

が条件です。

 

できるだけ怖くして鑑賞しないと勿体無いからです。

で、その後、キャストを確認して気になるシーンだけ

吹き替えで見直してみます。

 

字幕(元音声)で見たい映画②ドキュメンタリー映画

本人出演のドキュメンタリー映画に関しては

当たり前ですが本人が喋っている自身の体験談です。

 

本人が気持ちをこめて主張するシーンは、

吹き替えでは決して再現できない「想い」のこもった

魂のメッセージが伝わってきます。

 

私の大好きなドキュメンタリー映画

「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」。

 

80年代にシーンに現れたANVILというヘヴィメタルバンドの

過去の一瞬の栄光と現在の姿を追ったドキュメンタリーです。

 

10代で音楽をはじめ、一度ボン・ジョヴィたちと同じ舞台に

立ったにもかかわらず、世間からは忘れ去られてしまいました。

 

それでも本人たちは音楽を愛し、50代になった現在でも

バンドを続けています。

 

来日を果たしLOUD PARKのステージに立つラストシーンや、

最後のスラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼスのギタリスト)が言った

彼らを象徴する言葉が心に響く名作です。

 

もう10回以上は見ていますし、もちろんDVDを所有しています。

 

この映画でボーカルのリップスが「必ずロックスターになるんだ!」と

目に涙を浮かべながら訴えるシーンがあります。大好きなシーンです。

 

この映画、吹き替えは古川登志夫さんや若本規夫さんなど超豪華な

声優陣が揃っているのですが、たとえどれだけの役者さんであっても

本人の実体験に元ずく魂の部分まで再現することはできません。

 

レンタルでは字幕のみしか入っていないため、吹き替えでも見たかった

私はDVDを購入したのですが、改めてそのシーンを見て、

やっぱりドキュメンタリーは本人が一番だと気づかされた経験でした。

 

とはいえ吹き替えは吹き替えで、

「古川さん、このシーンどんな感じで演技してるんだろう」

という目線で見るとまた面白かったりするんですけどね。

 

 

まとめ:結局好きなように見たらいい。争うな。

まあここに挙げたのはあくまで

「私の楽しみ方」の例なので

今まで特に意識せず映画を見ていた方は

ぜひこの機会に参考にして下さい。

 

その他、吹き替えの楽しみ方としては

先ほどの「吹き替えの帝王」の例でもありましたとおり

 

テレビ版、劇場版、ソフト版で台本が違っているとか

役者さんは同じなのにそれぞれで演技が違うとか

 

そういうのを見比べるのも個人的には大好きなのですが

さすがにそこまでいくとマニアックだと思いますので

また別の機会に…。

 

最終的に言えることは

「映画は好きなように楽しめばいい」ってことですね。

 

「○○で見ないなんてクソ」

とかそういう価値観の強制はナンセンス。

 

いやあ、映画って本当にいいものですね~。

 

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